そろそろ出産予定日に迫っていた頃。

嫁はいつ生まれるかと楽しみにしていたし、ちょっとお腹に変化があったら、「陣痛かも!?」と喜びと恐怖でドキドキしていた。

でも、男側としたら自分の体に何も変化はないし、「陣痛かも!?」ってちょっと聞き飽きたなぁという感じだったので、「そうかもねー(適当)」ってな感じだった。

本気で生まれるってなったのは、俺が出張(日帰り)で出ていた日の帰り。帰宅したらすぐに病院へ行こうということだった。さすがにそうなったら少しはリアリティーを感じ始めたけど、まだそれでも何だかまだまだ先のことのように感じられていた。

帰宅して産婦人科へ行くと、今夜辺りかもしれませんねーとのことで待っていると、マジ陣痛がやってきた。

立ち合い出産をすると決めていたので、一緒に出産の部屋へ。

出張帰りで夕飯を食べていないので腹がぐうぐう鳴った。

「まぁせいぜい2時間くらいだろうし、帰りにコンビニで買おうかな」と呑気なことを考えていた。「何にしようかな」なんて考えるくらいの気楽さだった。

でも子供はなかなか出てこない。

ずっと背中をさする俺。

嫁は、人間の極限状態にあるような声を出し頑張っている。

でもできることは背中をさすったり手を握ることくらい。無力な俺。

一晩苦しんで、太陽が昇ってきた頃に吸引をすることになった。もう見てられないくらいの辛さだ。

それでも出ないってことで、誘引剤の注射をしてお腹を猛烈な力で押して出すことに。

正直な話、「もう子供はいいから嫁を助けてくれよ」って本気で思った。それくらい辛い状況だった。

それでも子供はまだ出ない。骨盤の広さよりも子供の頭の方が大きかったらしい。子供の脈か何かを示す値が低くなってきたということで、緊急帝王切開となった。

そこで俺は別室待機。

過酷な一晩を過ごした。子供は無事生まれるかというよりも、嫁が無事なのかが心配だった。あれだけイキんだり腹を押されたりしていては、相当なダメージが体にあるだろうと思った。

そして、ほどなくして何かの泣き声が聞こえた。

「ついに生まれたー!!」という喜びよりも、嫁は大丈夫なのかということの方が心配だった。

ナースステーションから子供を抱っこした看護師さんが来て、抱っこしてみる?って聞くから、抱っこした。そこで「結構です」と言うわけにもいかないから抱っこしたというのが本当のところ。

写真を撮ってくれたけど、「もっと笑いなよ」と言われるありさま。他の人は大喜びで笑うのだろうか。

本当に俺は人の親になったのか?

生まれた子供を見ても実感が沸かなかった。喜びも感じなかったし、カワイイとすら思えなかった。

嫁が病室に運ばれてきた。顔を見た瞬間、二人で泣いた。大変な一晩を過ごしたこと、母子ともに無事だったことことで安心したのだろう。

まさか、その数日後から溺愛オヤジになるとは思わなかった。嫁は俺を子供に取られたと愚痴を言うくらい、すっかり子供の虜になってしまった。今でも生まれたあの時のことを覚えているが、なぜあんなにリアリティーを感じなかったのか、なぜこんなにカワイイ子をカワイイとすら思えなかったのだろうと不思議で仕方ない。

もしかしたら、人の親になるという責任が怖かったのかもしれない。今はきっと覚悟を決めたからそんなこともなくなったのだろう。

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